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野菜みたいな人間になりたい③


あらかじめ断っておくと、
めっちゃしょうもないことなんですよ、ブチ切れた理由は。
千里丘駅の構内の階段を下っている時に、
僕を追い越そうとしたサラリーマンがぶつかってきたって言う、
ただそれだけの話で、わざとかもしれないし、わざとじゃないかもしれない。
でも「すみません」の一言も、軽く頭を下げることもなく、
立ち去って行ったのね。

普段ならそんな出来事は、
スロベニアの財務大臣の名前と同じくらいすぐ忘れられるんだけど、
その日は朝から、そういう「ちいさな不親切」が至る所に散らばってたの。
丁寧に搔き集めたら、
ちょっとしたシンデレラのお姉さんくらい作れたんじゃないかな…
なんかそういう日ってあるじゃない?
人の不親切が積み重なって、食傷気味になる日が。
(しかもその前日のネットニュースで、
駅とかの人混みを歩く女性に、日々のストレスの腹いせみたいな感じで、
体当たりする中年男性が多いって書いてるのをたまたま見てたのね。)

それでもう、僕は完全に頭に血が昇っちゃって、
駆け足でそのサラリーマンに追いつくと、横に並んで、
ずっと視線を送り続けたの。
相手は最初無視しようとして前を向いて歩いてたんだけど、
僕が余りにもひつこくつきまとって顔を覗き込むものだから、
そのサラリーマンはしばらく歩いた後に、
イヤホンを取って「わざとじゃないですよ」と一言。
かなりふてこい態度で。
第一声がそれだってことは、つまり自覚があったのね。
もうそこからのやり取りは見苦しくて、省くんだけど、
(「ワレの首に『しんにょう』偏を書いて、『道』にして歩いたろうか!!」
みたいな汚い言葉はもちろん使って無いですよ)
ちゃんと理を説いて謝って貰いました。

でもさ、そのサラリーマンももちろんしょうもないんだけど、
僕の正義感も相当にしょうもないじゃん?
無視すればいいことだし、店の近くだから、変なことを吹聴されるかも知れないし、
後から思えば何をムキにと思うんだけど。
それに何て言うんだろう…
僕とそのサラリーマンは、周りにいる人からしたら、
「2匹の豚が我々には見当のつかないことで揉めとるんだろう」
くらいに思われるのが関の山で、
サラリーマンがふてこい豚なら、僕はとりわけ神経質な豚だよね。
第三者にとっては、どっちの豚も粗野で、見苦しくて、汚らしいし
(ごめんね、豚さん。アライグマよりも綺麗好きなのを僕は知っているし、
馬やゴリラなんかには『レオン』のミトンはつとまらかっただろうけど、便宜的に)
豚の正義感なんて知ったこっちゃ無いし。
「ピギーピギー」と鳴いているだけ。

まぁ卑屈さと言う微生物は、その小ささと、
人間のありとあらゆる感情を取り込み、分解する、その食欲旺盛な特性のあまり
いとも容易く人の中に寄生し、増殖するよね。
1年に1回くらいそんな日があるのよ。
やたらと誰かの「腹いせ」にぶつかってしまう日がね。

僕にはさ、
『エレファントマン』のジョゼフ・メリックのような『義人の苦難』なんて言うのは
もう1つピンと来なくて
(もちろん人間の尊厳を守ろうとする美しさ、みたいなのも分かるんだけど
人間の苦悩もあそこまで偉大になってしまうと、雪男やツチノコみたいに、逸話だけが一人歩きして、その存在を身近に感じれないと言うか…ヨブ記なんかもそうだけど)
それよりも興行師バイツの連れていた少年の健気な苦悩と優しさに心を動かされる。
だから僕もあの少年を見習って、
もう少し忍耐力のある人間になりたいな〜って、
右の頬を打たれたら左のパピコを差し出せる人間になりたいな〜と思った。

野菜みたいな人間になりたい③_a0397930_09214749.jpg
ラナンキュラス ラックスシリーズ(2年目)

パピコは美味しいし、しかも分けられるんだよ。
それにここだけの秘密だけど、
実は神様って、善行とか悪行なんてものを天秤にはかけていなくって、
どれだけの人にパピコを分け与えたかだけを勘定してて、
その数に応じて、天国行きか、地獄行きかが決まるんだよ。
日本支部では、1974年から、そのような審査基準に改定されたんだって。
それまでは色々とややこしい基準が色々あって、
書類の数も、それを管理する部署もたくさんあったものだから、
天使は、光輪を脱ぐような忙しさだったんだけど、
(だからネロを迎えに行った天使は光輪してないの、寝ずの行軍だね)
今では週休2日もらえるし、面倒臭いことと言えば、
新商品が発売された時くらいで、
ピスタチオ味とか、いちごソルベ味なんかが販売された時なんかは、
それなりの議論を呼んだみたい。
(今度、リンタローの娘ちゃんにそう言ってパピコ教に入信させよ。
最近はドンジャラでもナンジャモンジャのカードゲームでもボロ負けしてるから、
ここらで「お花屋さんもすごいんだぞ!」ってとこ見せなきゃ)



以上、吹田千里丘のお花屋さん「花色」の弟の方でした。
いかがでしょう?
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■2020年

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by sakitosakitomorik | 2020-07-22 18:45 | 園芸

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by sakito